クラウド利用が当たり前になった今、境界型セキュリティだけでは守りきれない場面が増えています。VPN機器の脆弱性悪用や、情シスの運用負荷増大もあり、ゼロトラストへの移行は多くの企業で避けられないテーマになりました。
ゼロトラストへの移行を成功させる最大の鍵は、「一気にシステムを刷新するのではなく、現状の可視化から段階的に進めること」です。
本記事では、既存の業務を止めずに半年〜1年でゼロトラスト環境を実現するための、現実的な6つの移行ロードマップを分かりやすく解説します。
目次
ゼロトラスト移行の全体像
ゼロトラストは「一気に刷新する」必要はありません。 以下の6ステップを順番に進めることで、無理なく移行できます。
- アクセス環境の可視化
- ID管理・認証基盤の整備
- VPN依存の棚卸し
- SaaSアクセスの最適化
- 社内システムのZTNA化
- 運用ルールとログ監視の整備
ステップ別のポイント
各フェーズで具体的にどのような作業を行うべきか、移行プロジェクトをスムーズに進めるための重要なポイントを順番に解説します。
Step1:アクセス環境の可視化
まずは「誰が・どこから・何のシステム(データ)にアクセスしているか」を完全に把握します。 スプレッドシートやIT資産管理ツールを用いて、利用中のSaaSやオンプレミスのシステム一覧を作成しましょう。ここが曖昧だと移行後に「必要な通信が遮断されて使えない」というトラブルが起きるため、最重要のステップです。
Step2:ID基盤の整備
ゼロトラストの根幹は「すべてのアクセスを都度認証すること」です。 Microsoft Entra ID(旧Azure AD)などのクラウド型ID管理(IDaaS)を導入し、SSO(シングルサインオン)やMFA(多要素認証)の設定、不要なアカウントの棚卸しなど、セキュリティの土台となる部分を整備します。
Step3:VPN依存の棚卸し
「本当にVPN経由でなければならない業務」を見極めるフェーズです。
通信トラフィックを分析すると、Microsoft 365やZoomなどのSaaS通信が大半を占めているケースが少なくありません。まずはこれらをVPNから切り離す準備をします。
※参考記事:VPNの代替・見直しに向けた3つのポイント|ゼロトラスト(SASE)環境への第一歩
Step4:SaaSアクセスの最適化
VPNに通信を集約せず、クラウドへのアクセスを直接インターネットに逃がす(ローカルブレイクアウトなど)構成へ変更します。 これにより、テレワーク時によく発生する“SaaSのレスポンスが遅い・繋がりにくい問題”が解消され、従業員の利便性が劇的に向上します。
Step5:社内システムのZTNA化
残されたオンプレミスの社内システムへのアクセスを、VPNからZTNA(Zero Trust Network Access)へ切り替えます。
ネットワーク全体へのアクセスを許可するのではなく、「認証されたユーザーに、必要なアプリケーション単位でのみアクセスを許可する」仕組みを構築し、侵害時の被害を最小化します。
Step6:運用ルール・ログ監視
仕組みを作って終わりではなく、日々の運用が重要です。
アクセスログの継続的な監視、退職者や異動者の権限見直し(棚卸し)ルールを策定し、長期的に安全性を維持するサイクルを回します。
よくある失敗
ゼロトラストへの移行プロジェクトにおいて、以下のような進め方は失敗のリスクを高めます。
・いきなりVPNを廃止しようとする(業務停止などの大きなトラブルに繋がりやすい)
・ID基盤が整っていないのにツールだけを入れる(認証がザルになりセキュリティ効果が薄れる)
・現状のアクセス状況の把握が不十分(現場からクレームが多発する)
・製品導入だけで満足してしまう(運用ルールがなく形骸化する)
ゼロトラストは、自社の課題に合わせて段階的に移行する“ロードマップの策定”が成功の鍵です。
まとめ:自社に合ったステップで進めることが重要
ゼロトラスト移行は、 現状把握 → ID基盤 → VPN棚卸し → SaaS最適化 → ZTNA化 という順番で進めることで、半年〜1年で現実的に実現できます。
なお、かもめエンジニアリングが提供する KAMOME SASE は、既存VPNと併用しながら段階的に移行できる構成を採用しており、 ゼロトラストの最初の一歩として検討される企業も増えています。
自社に合った移行ステップを知りたい場合は、お気軽にご相談ください。
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