SaaSや社内アプリへのアクセス制御、リモートアクセスのセキュリティ強化などを背景に、SASEを導入・検討する企業が増えています。こうした動きは、大企業だけでなく中堅・中小企業にも広がっています。
SASEを導入するときに悩みやすいのが、製品の選び方です。SASEにはさまざまな製品があり、搭載する機能や導入方法、運用の仕組みも異なります。
そのため、「機能が多い製品を選べば安心」とは限りません。既存VPNを残す必要がある企業もあれば、情報システム担当者が少ない企業もあります。重要なのは、自社の課題や既存環境、運用体制に合ったSASEを選ぶことです。
本記事では、中堅・中小企業がSASEを選ぶ際に確認したい7つの基準を解説します。
既存VPNの扱いや運用負荷、コストなども含めて、自社に合うSASEを判断するための考え方もご紹介します。
機能の多さだけでSASEを選ばない
SASEには、さまざまな機能があります。機能が多い製品ほど、安心に見えるかもしれません。ただし、機能数の多さと自社への適合性は別です。
例えば、SaaSへのアクセス制御が課題だとします。この場合、ユーザーごとのアクセス制御や、利用状況を確認する機能は重要です。一方、拠点間システムの通信制御が、すべての企業に必要とは限りません。社内システムへのリモートアクセスを使わない場合は、そのための機能も必須ではありません。必要のない機能が増えると、コスト以外にも問題が発生します。
設定や管理の対象も増え、その分、日々の運用も複雑になります。特に情報システム担当者が少ない企業では、多くの機能を管理し続けることが負担になります。実際に、SASE導入ではコストに加えて、運用に必要なスキルや時間も課題になっています。 セキュリティ対策は、製品を導入するだけでなく、設定や管理を継続して行う必要があります。 そのため、できることの多さだけを見るのではなく、必要な対策を継続して運用できるかも重要です。SASEを選ぶ前に、まず自社に必要な条件を整理しておきましょう。
SASE選定前に整理する3つのポイント
製品資料を比較する前に、自社の状況を整理しましょう。
確認したいのは、主に次の3点です。
1. 解決したい課題
最初に「なぜSASEを導入するのか」を整理します。
例えば、次のような課題があるとします。
- SaaSへのアクセスを制御したい
- 社内システムへのリモートアクセスを見直したい
- シャドーITを把握したい
- 複数拠点のアクセス管理を見直したい
課題によって、必要な機能は変わります。
そのため、SASEを導入すること」を目的にするのではなく、
「何を改善したいのか」を先に整理します。
2. 既存環境
次に、現在のネットワーク環境を整理します。特に確認したいのが既存VPNです。
すぐに廃止できるのか、継続して利用する必要があるのかを確認します。あわせて、次の環境も整理し、SASEをどこに適用したいのかも確認してみましょう。
- SaaS
- オンプレミスのシステム
- IaaS
- 本社、支社、工場などの拠点
- IdPやIDaaS
- 既存VPNや閉域網
例えば、本社だけを対象にするのか、
支社や工場まで含めるのかで必要な構成は変わります。
3. 運用体制
最後に、導入後の運用体制を確認します。まず、情報システム担当者の人数を確認し、設定変更に使える時間やスキルも整理します。SASEでは、ユーザーの追加や異動があるので、アクセスルールを変更する場合もあります。導入できても、運用を続けられなければ、十分に活用することはできません。そのため、「導入できるか」だけではなく、「自社で継続して運用できるか」まで確認します。
選定前に確認しておきたい項目
製品比較を始める前に、次の内容を確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 確認する |
| 解決したい課題 | SaaSのアクセス制御、リモートアクセス、シャドーITなど |
| 既存VPN・ネットワーク | VPNを残す必要があるか、現在の構成はどうなっているか |
| 運用体制 | 担当者数、設定変更やログ確認を行える体制 |
| 拠点 | 本社、支社、工場などの対象拠点 |
| 利用サービス | SaaS、オンプレミス、IaaS、IdP・IDaaSなど |
ここまで整理すると、製品を比較するときの基準が見えやすくなります。
SASE選定で確認したい7つの基準
SASEを比較するときは、次の7つの基準を確認します。
すべてを同じ重さで評価する必要はありません。自社にとって重要な項目から確認してください。
1. 必要な機能と対象範囲を満たせるか
なぜ重要か
重要なのは、機能数ではなく、自社の課題を解決できる機能があるかどうかです。例えば、SaaSへのアクセスを制御したい企業なら、ユーザー単位で制御できるかが重要です。利用状況を確認したい場合は、ログや可視化の機能も必要です。社内システムも対象にする場合は、SaaSだけでなく社内アプリへの対応可否も確認しましょう。
ベンダーに確認したい質問
- SaaSと社内アプリの両方を制御できますか。
- ユーザーやグループ単位で制御できますか。
- 利用状況やログを確認できますか。
特に重視したい企業
SaaSと社内システムを併用している企業や、シャドーITの利用状況を把握したい企業です。
2. 既存VPNやネットワークを活用できるか
なぜ重要か
SASE導入と同時にVPNを廃止できるとは限りません。業務システムとの関係で、現在のネットワークを残す場合もあります。そのため、既存環境との併用可否を必ず確認します。「VPNと併用できる」という情報だけでは不十分ですので、併用するための条件もチェックしておきましょう。
ネットワーク構成の変更が必要かも確認します。
ベンダーに確認したい質問
- 現在のVPNと並行して利用できますか。
- 併用する場合に条件はありますか。
- 現在のネットワークで変更が必要ですか。
特に重視したい企業
既存VPNをすぐに廃止できない企業や、オンプレミス・閉域網を利用している企業です。
3. 自社に合った範囲から導入できるか
なぜ重要か
SASEを最初から全社に導入する必要はありません。一部の部門や拠点から始める方法もあります。まずは小さい範囲で運用を確認した後、徐々に対象を広げていきましょう。複数拠点を持つ企業では、一度にすべてを変更すると影響範囲も広くなります。
そのため、段階的に導入できるかを確認します。
ベンダーに確認したい質問
- 部門や拠点を限定して導入できますか。
- 導入後に対象範囲を広げられますか。
- 移行中に既存環境と並行運用できますか。
特に重視したい企業
本社・支社・工場など複数の拠点を持つ企業や、一部の部門から段階的に導入したい企業です。
4. 導入後も自社の体制で運用できるか
なぜ重要か
SASEは、導入したら終わりではありません。ユーザーの追加や異動があったり、アクセスルールを変更したりする場合もあります。そのため、日常的な運用まで確認する必要があります。例えば、高度な機能を多数導入しても、管理できる担当者がいなければ活用できません。運用が複雑になれば、設定や確認に必要な作業も増えます。特に担当者が少ない企業では、必要な対策を継続できる運用体制が重要です。
ベンダーに確認したい質問
- 自社側ではどの作業が必要ですか。
- 管理画面から何を変更できますか。
- 日常運用にはどの程度の知識が必要ですか。
特に重視したい企業
情報システム担当者が少ない、または運用に割ける時間が限られている企業です。
5. 既存の認証基盤や関連サービスと連携できるか
なぜ重要か
すでにIdPやIDaaSを利用している企業の場合、SASE単体だけを見るのは不十分です。既存サービスとの連携可否も確認する必要があります。ログ管理などで別のサービスを使う場合もありますので、必要な連携先を事前に整理してください。
ベンダーに確認したい質問
- 現在利用するIdP・IDaaSと連携できますか。
- ログはどのように確認・出力できますか。
- 必要な外部サービスと連携できますか。
特に重視したい企業
すでに認証基盤を導入している企業や、現在のサービスを継続して利用したい企業です。
6. サポート体制が自社に合っているか
なぜ重要か
トラブル時には、ベンダーへの確認が必要になります。特に担当者が少ない企業では重要です。問い合わせ方法やサポート範囲、マニュアルの言語なども確認してください。自社だけで対応する範囲と、ベンダーに相談できる範囲を把握しておきます。
ベンダーに確認したい質問
- 問い合わせ窓口はどのようになっていますか。
- どこまでサポートしてもらえますか。
- マニュアルやサポートは日本語ですか。
特に重視したい企業
社内に専門担当者が少ない企業や、日本語でのサポートを重視する企業です。
7. 必要な機能とコストのバランスが合うか
なぜ重要か
セキュリティでは、単純に安い製品を選べばよいわけではありません。必要なセキュリティ対策を満たすことが前提です。そのうえで、必要な機能に対して、どの程度の費用がかかるかを比較します。初期費用だけを見るのも避けてください。ユーザー数や拠点数が増えた場合に、費用がどう変わるかも確認します。使わない機能のために費用をかけるのではなく、必要な対策に予算を使える構成かを見ることが重要です。
ベンダーに確認したい質問
- 初期費用と利用料金はいくらですか。
- 何を基準に料金が変わりますか。
- ユーザーや拠点を増やすと料金はどう変わりますか。
特に重視したい企業
予算に限りがある企業や、段階的な導入を検討している企業です。
企業タイプ別|優先する基準の決め方
7つの基準をすべて「最重要」にすると、製品を比較しにくくなります。自社の状況に応じて、優先順位を付けます。
次の表は、優先順位を考える一例です。
| 企業の状況 | 優先して確認したい基準 |
| 既存VPNをすぐ廃止できない | 既存環境 → 導入範囲 → 運用 |
| SaaSと社内システムが混在している | 機能・対象範囲 → 連携 → 運用 |
| 本社・支社・工場などがある | 既存環境 → 導入範囲 → 機能 |
| 情報システム担当者が少ない | 運用 → サポート → コスト |
| 予算を重視している | 必須機能 → コスト → 導入範囲 |
例えば、既存VPNの継続利用が必須だとします。その場合は、「既存VPNと併用できること」が必須条件になります。この条件を満たさない製品は、他の機能が充実していても候補から外せます。一方、日本語サポートを希望しているものの、必須ではない企業もあるでしょう。その場合は、「あると望ましい条件」として扱えます。このように、選定条件を「必ず満たす必要がある条件」と「できれば満たしたい条件」に分けると、比較しやすくなります。製品の機能数を比べるのではなく、自社の条件をどれだけ満たすかで判断してください。
7つの基準にKAMOME SASEを当てはめる
ここまでは、製品名を出さずに選定基準を整理しました。ここからは同じ7つの基準を使い、KAMOME SASEとの対応を確認します。KAMOME SASEは、中堅・中小企業を想定し、導入や運用のしやすさを重視した国産SASEです。
1. 7つの選定基準との対応
| 選定基準 | KAMOME SASEの対応 | 導入前に確認したいこと |
| 機能・対象範囲 | SaaS、オンプレミス、クラウドを対象にアクセス制御 | 自社で利用するシステムへの対応可否 |
| 既存VPN | 既存VPNとの併用を想定 | 自社のVPN構成で併用できるか |
| 導入範囲 | 部門単位での段階導入を想定 | どの部門・拠点から始めるか |
| 運用 | 日本語GUI、セルフメンテナンスを想定 | 自社側で必要になる運用作業 |
| 連携 | IdPとの連携に対応 | 利用中サービスとの連携可否 |
| サポート | 国内運用、日本語でのマニュアル・サポート | 必要な支援内容を満たすか |
| コスト | 必要な構成に応じて確認 | 自社構成での具体的な費用 |
KAMOME SASEでは、オンプレミス、クラウド、SaaSを問わず、統一したアクセス制御を行う構成が示されています。 利用者やグループ単位で、SaaSや社内アプリへのアクセスを制御でき、各種IdPとの連携にも対応しています。なお、IdPの利用は必須ではありません。異なる閉域網にあるシステム間の通信も、アクセスルールに基づいて制御できます。
2. 既存VPNを残した段階導入にも対応
KAMOME SASEは、既存VPNとの併用を想定しています。既存ネットワークを活用しながら、部門単位で導入できる構成です。一度にすべてのネットワークを変更せず、段階的に導入したい企業に適した特徴です。ただし、すべての環境で併用できるわけではありません。条件によってVPNとの併用に対応できない場合があります。既存VPNを残すことが必須条件の場合は、自社環境で利用できるか事前に確認してください。
3. 最短3日~2週間で運用開始
KAMOME SASEは、SASEアプリ、ポリシー管理クラウド、コネクターによる軽量な構成です。そのため、最短3日~2週間での運用開始が可能です。長期間の導入プロジェクトを避けたい企業では、選定時に確認したいポイントの一つです。実際の導入期間は、構成によって異なりますのでご注意ください。
4. 国内運用と日本語サポート
KAMOME SASEは、日本国内のデータセンターで運用しているため、設計やマニュアルは日本語を標準としています。もちろん、サポートも日本語対応です。 国内での運用や日本語対応を重視する企業では、選定条件と照らして確認しやすい項目です。
5. 導入前に確認が必要な点もある
KAMOME SASEが、すべての企業や環境に合うとは限りません。特に既存VPNとの併用を必須とする場合は、自社環境で利用できるか確認が必要です。特定のサービスとの連携が必須の場合も、現在の対応状況を確認してください。SWGやDLPなどとのAPI統合は、あくまでも「予定」とされています。自社環境への対応可否や料金など、記事だけでは判断できない内容もあります。
まとめ
SASEは、機能の多さだけで選ぶものではありません。自社の課題や既存環境、運用体制を整理し、必要な機能を継続して運用できる製品を選ぶことが重要です。まずは必須条件と優先する条件を整理しましょう。
KAMOME SASEの機能や構成を詳しく知りたい方へ
「もう少し詳しく機能を確認したい」
「どのような構成で利用できるか知りたい」
という方は、下記リンクよりKAMOME SASE概要資料をお受け取りください。
概要資料では、主な機能に加えて代表的な構成や導入パターンを確認できます。例えば、社内ユーザーからのアクセスや、リモートユーザーからのアクセス構成があります。異なる閉域網の拠点間通信についても、構成例が掲載されています。
まず自社で情報を確認したい場合にご活用ください。
自社にKAMOME SASEが合うか確認したい方へ
概要資料だけでは、判断しにくい内容もあります。
例えば、次のような内容です。
- 現在のVPNと併用できるか
- どの部門や拠点から導入できるか
- 利用中のSaaSや社内システムに対応できるか
- 既存のIdPやサービスと連携できるか
- 自社ではどのような構成になるか
- 自社構成ではどの程度の費用になるか
これらは、現在のネットワーク環境によって異なります。自社への適用可否など詳細をお知りになりたい方は、オンラインにて無料相談を受け付けておりますので、下記リンクよりお問合せくださいませ。また、ご相談の際に下記情報をご用意いただけますと、より具体的なお話ができます。
- 本社、支社、工場などの拠点
- 現在利用しているVPN
- 利用中のSaaS
- オンプレミスやIaaSの利用状況
- IdP・IDaaSの利用状況
- SASEで解決したい課題
- 最初に導入したい部門や拠点
- 自社で必須とする条件
もちろん上記すべての情報をご用意いただく必要はございませんので、分かる範囲でご確認いただけますと幸いです。
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