デジタル環境の進化に伴い、セキュリティ対策の重要性がますます高まる中、ゼロトラストセキュリティの概念が注目されています。この考え方では、全てを疑い、常に検証を行うアプローチが必須となります。その中心的な存在として、認証技術の活用が欠かせません。 特に、SAML(Security Assertion Markup Language)とOpenID Connectは現代のIT環境で広く利用されている認証プロトコルです。それぞれに独自の特徴と利点があり、ゼロトラスト時代のセキュリティモデルを支える重要な役割を果たします。 この記事では、SAMLとOpenID Connectの基本概念や認証フローを解説しつつ、それぞれの特徴や違いを比較検討していきます。
目次
SAMLとは
SAML(Security Assertion Markup Language)は、シングルサインオン(SSO)を実現するための技術です。一度ログインするだけで、複数のシステムにアクセスできる仕組みを提供します。この技術は、異なるシステム間で認証情報を安全にやり取りするための規格として、業界団体OASISが標準化しました。 SSOを実現するプロトコルには、SAMLのほか、OpenID ConnectやOAuthも存在しますが、企業環境ではSAMLがよく使われています。
SAMLについて詳しくはこちらをご覧ください。
SSOの実現に必要な「SAML」とは?
SAMLの認証フロー
SAMLの仕組みには、ユーザー(プリンシパル)、IDプロバイダー(IdP)、サービスプロバイダー(SP)の3つの要素が関わります。ユーザーがサービスにアクセスすると、まずIDプロバイダーで認証が行われ、その後「SAMLアサーション」と呼ばれるデータがサービスプロバイダーに送られます。このアサーションによって、ユーザーはアクセス権を得ます。企業内システムの統合に適しているのが特徴です。
OpenID Connectとは?
OpenID Connectは、ウェブやモバイルアプリの認証に用いられるプロトコルです。この仕組みでは「IDトークン」と呼ばれるデータを使い、ユーザーがどこの誰かを確認します。IDトークンを利用することで、複数のサービス間で共通のIDを使った認証が可能になります。
例えば、GoogleやFacebookのアカウントを使って他のサービスにログインする仕組みが、OpenID Connectの代表的な利用例です。
OpenID Connectについて詳しくはこちらをご覧ください。
OAuthとOpenID Connectについて~仕組みや特徴など解説~
OpenID Connectの認証フロー
OpenID Connectでは、ユーザーがアプリにログインしようとすると、認可サーバーが認証を行います。この際に発行される「IDトークン」と「アクセストークン」を使うことで、ユーザー情報を他のサービス間で安全に共有できます。特に異なるドメイン間の認証が求められる場合に活用されるプロトコルです。
認証フローの違い
SAMLとOpenID Connectは、それぞれ異なる用途に適したプロトコルです。
- SAMLは、企業内で利用される複数のシステムを統合する目的でよく採用されます。
- OpenID Connectは、モバイルアプリやウェブサービスとの連携に向いており、軽量で扱いやすい設計が特徴です。
セキュリティ面での比較
両プロトコルとも高度なセキュリティ機能を備えていますが、その方法に違いがあります。
SAMLのセキュリティ
- SAMLは、XML署名や暗号化技術を用いてデータの整合性と機密性を保証します。また、通信にはTLS(Transport Layer Security)を使うため、外部からの攻撃を防ぐ仕組みが整っています。
OpenID Connectのセキュリティ
- OpenID Connectでは、JSON Web Token(JWT)を利用し、軽量で高速なトークン処理を可能にしています。さらに、PKCE(Proof Key for Code Exchange)を採用することで、モバイルアプリでのセキュリティを強化しています。
まとめ
プロトコルの選択は、利用シーンや要件に応じて行うのが重要です。 SAMLは企業内のシステム統合に適しており、OpenID Connectはモバイルやクラウドサービスとの連携で力を発揮します。それぞれの特性を理解し、適切に活用することで、セキュリティと利便性の両立が可能です。
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