AWSやAzureなどのクラウドサービスは、近年、企業にとって欠かせない存在となっています。
しかし、実際に現行のシステムから「どのように移行するか」という点については、専門的な知識が求められるため、十分に把握できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、クラウドサービスが浸透している背景や、クラウドに移行するメリットを紹介したうえで、実際の移行の流れについても解説します。
※2022年8月18日に公開した記事を再編集しております。
クラウドへの移行の状況とサービスの種類
そもそも、企業のシステムをクラウドに移行する背景やメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
まずは、クラウド移行の現状や、提供されているサービスの種類について見ていきましょう。
拡大を続けるクラウド市場と主要サービスの動向
MM総研の調査 によると、2021年度日本国内のクラウドサービス市場は3.5兆円に達し、前年度から24.3%も成長しました。この傾向は以前からも継続していますが、今後も続くと見られており、2023年には4.8兆円規模の市場になると予想されています。
クラウドサービス市場の内訳をみると、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)といったパブリッククラウドの市場規模は、1兆5,249億円と推計されています。
特にPaaSやIaaSは、大規模な設備投資を必要としないことや、システム規模に応じた拡張性といった導入メリットが広く認知され、インフラ構築に欠かせないサービスとして定着しました。
また、SaaSも2021年にはコロナ禍による「場所に依存しない働き方」の常態化に伴って普及が進みました。電子契約書や電子請求書など新たなサービスの開発もめざましく、パブリッククラウド市場の拡大に大きく寄与しています。
代表的なクラウドサービス
代表的なクラウドサービスを紹介します。ここで紹介するものはいずれもサービスの総称で、それぞれについてデータベースやストレージなどの個別のサービスが提供されています。
- AWS(Amazon Web Services)
Amazonが提供するクラウドサービスです。クラウドサービスのパイオニア的な存在で、トップシェアを誇り、多くの企業が使用しています。 - Azure
Microsoft社が提供するクラウドサービスです。近年、大きくシェアを伸ばしています。 - GCP(Google Cloud Platform)
Googleのクラウドサービスといえば、個人向けのGmailやGoogleドライブなどのサービスがよく利用されていますが、同社はビジネス用途でのクラウドサービス展開も行っています。このGCPは、Google社内で実際に使用されている環境がサービスとして提供されています。
クラウド移行の背景・メリットとは
クラウドへの移行が進んでいる背景には、導入企業にとって多くのメリットがあることが挙げられます。
ここでは、企業がデータベースやストレージなどをクラウドで利用する際の、主なメリットについて見ていきましょう。
初期費用が安い
オンプレミスのような高額な設備投資が不要で、少ない費用で運用を始められます。
従量課金制で柔軟なコスト管理
使った分だけ料金が発生するため、利用状況に合わせた無駄のない運用が可能です。
高い可用性
冗長化により安定稼働を実現。オンプレミスのように大規模投資をしなくても安心です。
場所やデバイスを問わない利便性
インターネット接続があればどこでも利用可能。テレワークとも相性が良いです。
自動アップデートで最新環境を維持
セキュリティ対策も含め常に最新の環境を利用でき、更新作業の手間も不要です。
クラウド移行の注意点
以上のようなメリットはありますが、もちろん気をつけるべき点もあります。そこで、クラウド移行を進める際の注意点について解説します。
クラウド移行の難易度は異なる
業務内容によっては移行が難しく、プロセスの見直しや既存システムとの連携が必要になる場合があります。
クラウド移行で必ずコストが安くなるわけではない
必ずしもコスト削減に直結するわけではないため、費用対効果を見極めることが重要です。
セキュリティリスクへの対策が必要
セキュリティはサービス任せにせず、社内規定や権限管理、研修など運用面での対策も欠かせません。
クラウドに関するセキュリティ対策についてはこちらの記事をご覧ください。
「SaaS利用において行うべきセキュリティ対策とは?」
担当者に知識やスキルが必要
クラウドは導入しやすい反面、運用にはネットワークやDBの知識を持つ人材が必要です。専門人材がいなければ最適化が難しく、外部委託するとコスト増につながります。
障害発生時の備え
どのサービスでも障害の可能性はあるため、事前に対応策を策定し、関係者と共有しておくことが大切です。
クラウドへ移行する手順
ここまで、クラウド移行のメリットや注意点について確認してきました。では、いよいよ実際にクラウド移行を進める際の6つの手順を見ていきましょう。
手順①:目的を明確にし、業務を洗い出す
クラウドは業務を効率的に遂行するための手段です。まずはクラウド移行の目的を明確にしましょう。その上で業務を洗い出し、目的達成に最適なクラウドサービスを検討していきます。
手順②:クラウド移行による効果を試算する
クラウド移行によって業務内容や効率、コストにどのような影響が出るかを試算します。業務面では、現場スタッフと意見をすり合わせ、認識のずれがないよう進めることが大切です。
手順③ サービスの構成を検討する
クラウドサービスは、必要に応じて複数のサービスを組み合わせて構築できます。場合によっては、クラウドと既存システムを組み合わせるハイブリッドクラウドや、複数クラウドを併用するマルチクラウドを利用することもあります。構築が複雑になるほど専門知識が必要になるため、クラウド導入支援を行う専門業者に相談するのも有効です。
手順④ 費用を試算する
クラウド移行にかかる費用を試算します。従量課金のサービスもあるため正確な予測は難しいですが、サービスごとに毎月の上限額を設定するなどして、予算を管理する方法もあります。
手順⑤:アカウントを登録してサービスを利用する
クラウドサービスのアカウントを登録し、利用手続きを進めます。
手順⑥ クラウドサービスを運用する
関連スタッフにアカウントやパスワードを発行し、クラウドサービスを運用します。運用を進める中で新たな課題が見つかることも多いため、改善を繰り返しながら運用するのが望ましいです。
まとめ
AWSやAzureなどクラウドサービスの利用は今後も増えていきますが、移行には目的設定やコスト試算、セキュリティ対策といった適切な手順が欠かせません。
かもめエンジニアリングでは、クラウド利用時に課題となるセキュリティ強化のために、シングルサインオンで安全な認証を実現する「KAMOME SSO」や、アカウント管理を効率化するID管理サービス「Keyspider」を提供しています。
クラウド移行や運用に不安がある方は、ぜひ下記お問い合わせフォームよりご相談ください。
参考:
- 令和4年版 情報通信白書(クラウドサービス市場の動向) | 総務省
- 国内クラウドサービスの市場規模は3.5兆円に拡大 | MM総研
- 3年以内にデータベースの4分の3がクラウドに–ガートナー調査 | ZDNet Japan
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