DLPとは?基本機能やメリットをわかりやすく解説

顧客情報や財務データなど、企業の重要な情報を守るためのセキュリティ対策の一つとして、DLPが挙げられます。この記事では、DLPとは何か、DLPの基本機能から導入のメリットまでわかりやすく解説します。

DLPとは

DLP (Data Loss Prevention、データ漏洩防止) とは、組織の機密情報や重要データを監視し、それらのコピーや転送を制限するセキュリティツールです。DLPを導入することで、機密情報を外部に持ち出されたり、紛失したりするリスクを効果的に防ぐことが可能となります。DLPの最大の特徴は、重要なデータそのものを監視することです。従来の情報漏えい対策ではすべての情報を対象とするのに対し、DLPは特定された機密情報のみが対象となります。キーワード正規表現を指定したり、データの指紋にあたる情報(フィンガープリント)をあらかじめ登録しておいたりすることで情報を判別し、機密情報や個人情報を守ることができます。データ本体を守ることで、特に組織にとって重要なデータ(顧客情報や財務データ、企業戦略など)を保護することができます。

DLPの基本機能

DLPの代表的な機能は下記の6つです。

①セキュリティポリシーの設定、変更機能

セキュリティポリシーとは、企業内にある重要なデータを保護するためのルールを取りまとめたものをいいます。セキュリティポリシーの設定、変更機能は、DLP の土台ともいえる重要な機能です。例えば、情報に「重要」「社内のみ」などが含まれているか、氏名や個人のメールアドレスなどの個人情報が含まれているか、などを条件として設定できます。

②違反行為に対してのブロック機能

DLP は、管理者への報告機能に加えて、違反行為ができないようにブロックする機能も搭載しています。印刷、コピー、キャプチャといった操作を制限することにより、機密性の高い情報を外部に持ち出す手段を制御し、不正利用を防ぐことができます。また、従業員のメール誤送信・誤操作による情報漏えいなども、DLPが事前に検知しブロックすることで未然に防ぐことができます。


③インシデント検出機能

DLPの特徴として、リアルタイムで不正アクセスなどのリスクを検知し、管理者に通知する機能があります。24時間リアルタイムで検知し管理者に通知するため、すぐに対応することができます。

④個別に利用を制限できる機能

重要な情報に対して、閲覧や編集、ファイル名の変更などを個々のデータそれぞれに設定できます。たとえば、特定のデータに対して上層部の社員のみ閲覧できるといった設定が可能です。利用制限の対象としては、パソコンやスマートフォンなどの端末や、保管しているデータ、メールなど、柔軟に設定できます。

⑤デバイスを一元管理し、利用を制限できる機能

DLPには、PCやスマートフォン等のデバイスのデータアクセスを制限する機能があります。ネットワーク経由で侵入するウイルスやマルウェア、不正アクセスなどからデバイスを守ることができます。

その他、セキュリティリスクについてはこちら
2024年のセキュリティの10大脅威とは? 行うべきセキュリティ対策まで解説

⑥Webページのセキュリティ 

URLのフィルタリング機能を利用して、セキュリティ保護されていないサイトや会社のセキュリティポリシーに反するコンテンツへのアクセスを制限する機能があります。ユーザーや部署ごとにアクセス権を制限し、重要情報の閲覧を制限することも可能です。

DLP導入のメリット

DLPは企業の情報漏えいを未然に防ぐために役立ちますが、導入することでさらにほかの効果も得られます。DLPの代表的なメリットは以下の3つです。


①自動かつリアルタイムで、データを監視

DLPの特徴として、リアルタイムで不正アクセスなどのリスクを検知し、管理者に通知する機能があります。情報漏えいなどのセキュリティインシデントは、スピーディーな対策が求められます。不正が発覚してから対策を講じるまでの時間が長いほど、企業に大きな損害を与えるリスクも高まるでしょう。その点で、DLPは24時間リアルタイムで検知し管理者に通知するため、すぐに対応することができます。

②企業の機密情報が入ったデータを保護

企業の機密情報などの重要なデータを保護することができます。情報漏えいが起こるパターンとして、悪意を持って故意にデータを漏えいさせるケースと、メールの誤送信などの操作ミスによる人為的ミスのケースがあります。DLPでは、故意に行われるケースはもちろん、人為的ミスによる情報漏えいも防ぐことができるのは大きなメリットといえます。

③管理者の負担・コスト削減

究極的には、日々管理者がログなどを監視し、データを持ち出す際に一人ずつ目でチェックすれば防ぐことができるでしょう。しかし、私たちが普段取り扱うデータの量は非常に多く、チェックする側もされる側も多大な負担がかかることになります。その点で、DLPは有効です。また、ユーザーの負担だけでなく、管理者側の登録や管理の手間も防ぐことができます。

DLPと従来のシステムを使い分ける

網羅的な情報漏えい対策を実現するには従来の情報漏えい対策(IT資産管理システムなど)とDLPの両方が必要です。しかし、費用や運営コストがかかるため、企業によっては現実的でないでしょう。リスクマネジメントの優先順位としては、機密情報の保護が最も重要です。まずはDLPで機密情報の漏えいを防ぎ、そのほかの情報も守りたいという場合には、補完的に暗号化やログ管理のような従来のシステムを利用するとよいでしょう。

おわりに

DLPは、組織の機密情報や重要なデータを監視するセキュリティツールです。DLPの導入によって、リアルタイムでの不正の検知、情報漏えいがされていないかのチェックやそれによるコスト削減などのメリットが見込まれます。従来の情報漏えい対策と合わせて使うことで、セキュリティレベルをより上げることができます。

近年では、サイバー攻撃による情報漏洩や機密情報の窃盗が増えており、その手口も巧妙化しています。総務省は、2024年5月末に「国民のためのサイバーセキュリティサイト」を更新しました。こちらもぜひ参考にしてください。

かもめエンジニアリングでは、ID管理の運用負荷と業務システムのセキュリティリスクを大きく減少させる「KAMOME SSO」、フェデレーション非対応の社内システムも認証・認可を統合し、リモートアクセスのセキュリティと利便性向上がはかれる「Keygateway」を提供しております。ご興味がある方は是非お問い合わせください。