近年、VPNを狙ったサイバー攻撃が増加し、企業・自治体を問わず深刻な被害が相次いでいます。
実際に、大手企業でのランサムウェア被害 や 有名企業の業務停止 が大きく報道され、VPN経由での侵入リスクが一気に注目されるようになりました。
特に問題なのは、一度VPNを突破されると社内ネットワーク全体へアクセスされてしまう という構造そのものが、攻撃者にとって“狙いやすい入口”になっている点です。
こうした背景を受け、多くの組織が注目しているのが ゼロトラストセキュリティ。
本記事では、なぜ従来の仕組みだけでは守り切れないのか、そしてゼロトラストがどのように安全性を高めるのかを、簡潔にわかりやすく解説します。
目次
ランサムウェア被害が示す現実
近年、ランサムウェア被害が明らかに増えています。
「大企業だけの問題」と思われがちですが、実際には 中小企業の被害が急増 しています。
その理由はシンプルで、
- IT担当者が少なく対策が遅れやすい
- VPNやリモートアクセス機器の管理が十分にできない
- 攻撃者から“入口が見えやすい”企業が多い
とくに深刻なのが「侵入経路」です。
まずは、攻撃の全体像をつかみたい方はこちらもおすすめです
「ランサムウェアとは?VPNの脆弱性を突いた攻撃とその対策を解説」
侵入の6割はVPN —— 警察庁が示す数字
警察庁『令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』では、
ランサムウェア被害の 62%がVPN機器からの侵入 でした。

参考: 令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
- VPN:28件(62%)
- リモートデスクトップ:10件
→ 合計 85%以上が“リモートアクセス経由”
これは「VPNが悪い」のではなく、
遠隔接続が前提の働き方になったことで“入口”がひとつに集中しやすい構造になっている
という事実を示しています。
つまり、多くの企業は“VPNまわりを入口として攻撃されている”。
被害件数は高止まり、中小企業も広く標的に
同じく警察庁の統計では、企業・団体におけるランサムウェア被害件数が
令和3年以降、明確な増加傾向 にあります。

参考: 令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
- 令和4年:100件超
- 令和5〜7年:90〜120件前後で横ばい
- 最近は「ノーウェアランサム」など新手法も登場
ランサムウェアは“一過性の話題”ではなく、長期的な経営リスクとして定着している。
これは、企業がセキュリティを「整備すべき理由」そのものです。
いま課題なのは「VPNそのもの」ではない
VPNは長い間、
“社内ネットワークへ安全に接続するための仕組み”
として役割を果たしてきました。
しかし、現在の働き方では次の問題が表面化しています。
VPN機器の脆弱性を突かれる
パスワード漏洩→不正ログイン
認証方式が古い(ID/パスワードだけ等)
接続すると社内ネットワーク全体にアクセスできる
つまり攻撃者視点では、
「入口だけ破れば社内全部に届く」という構造自体が最大の弱点になっているのです。
ここで強調したいのは、
VPNが悪いのではなく、“社内中心”のネットワーク構造が時代に合わなくなった
という事実です。
必要なのは「脱VPN」ではなく“構造の再設計”
テレワークや外部接続が前提の現在、
従来モデルの「社内に入る=全部に触れる」
という構造では、防御が成り立ちません。
そのため多くの企業では、
「VPNを使うか使わないか」の議論ではなく、
ネットワークの設計思想をゼロから見直す流れが加速しています。
その実現方法がゼロトラスト / SASE(Secure Access Service Edge)です。
これらは、
- 必要な人が
- 必要な場所に
- 必要な範囲だけ
アクセスできるようにするための設計思想・仕組み。
VPNの利便性は保ちながら、「全アクセス可」の古い構造だけをアップデートする考え方です。
“リモートアクセス前提の時代”だからこその必須対策
現在は誰でもランサムウェアに狙われる時代です。
とくに攻撃者が最も狙うのは
- VPN
- リモートデスクトップ
- パブリックに見えるリモートアクセス機器
という「入口部分」。
だからこそ
は“最新トレンド”ではなく、
現代の働き方に必要な基本的な防御 になりつつあります。
これは大企業だけでなく、
IT担当者が少ない中小企業ほど重要です。
まとめ
本記事でお伝えしたかったポイントは以下の3つです。
ランサムウェアの入口は「リモートアクセス」が圧倒的多数
VPNが悪いのではなく、社内中心の旧来ネットワークが限界
いま必要なのは“脱VPN”ではなくネットワーク構造の再設計
ネットワークと働き方が大きく変わった今こそ、
改めて自社の仕組みを見直す時期に来ています。
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