なぜ自治体でIDaaS導入が進むのか? 背景・メリット・導入ポイントを整理

 近年、自治体において IDaaS(アイダース) を導入する動きが広がっています。

  • 庁内システムのクラウド化
  • 住民向けオンラインサービスの拡大
  • テレワークや複数端末利用の増加

 これらの変化により、
「職員のID管理」や「アクセス制御」の重要性が一気に高まっているためです。

 本記事では、なぜ今自治体でIDaaSが注目されているのか、
背景と課題、導入時のポイントを整理して解説します。

国の方針が「クラウド利用前提」に変わった

 政府は2018年に「クラウド・バイ・デフォルト原則」を定め、システム新規開発や更新の際にはクラウドサービスの利用を第一に検討する方針を示しました。
さらに、デジタル庁が推進する「ガバメントクラウド」構想により、国と自治体の情報システムを共通のクラウド環境に集約する流れが加速しています。

 これまでのように自治体ごとに独自システムを開発・運用する方法では、コストや人材の面で限界があるため、
今後は「共通基盤を使い、全国で標準仕様に統一する」ことが求められています。
この構造転換により、IDやアクセス管理の仕組みもクラウド前提で見直す必要が生まれています。

自治体システムの標準化・共通化が進んでいる

 現在、自治体では「自治体情報システム標準化法(2021年成立)」を受け、住民記録・税務・福祉など20分野以上の基幹システムを全国統一仕様で整備する取組みが進んでいます。
この標準化は2025年度末までに完了予定とされ、住民サービスの多くがクラウド上で稼働する見込みです。

 一方で、クラウド上の業務システムに職員や委託業者が多拠点からアクセスするようになるため、
「ネットワーク境界で守る従来モデル」から「ユーザーと権限を軸に守るモデル」へとセキュリティの考え方も変化しています。
この“境界なき環境”で、誰がどのシステムにアクセスできるかを管理する仕組みこそが、「IDaaS」です。

そこで注目されているのが「IDaaS」

 IDaaSとは職員や委託先のログイン情報を一元的に管理し、利用可能なシステムや権限を自動的に制御するクラウドサービスです。

 具体的には:

課題IDaaSでできること
システムごとにログインIDがバラバラログインをひとつにまとめる(SSO)
異動・兼務のたびに権限の付け替えが大変所属・役職に応じて権限を自動付与・削除
セキュリティ強化が求められる二要素認証(MFA)やアクセス記録を自動で管理

 従来のID管理ツールが庁内システム中心だったのに対し、IDaaSはクラウドやSaaS、住民向けサービスなど“庁外に広がる環境”まで統合的に管理できる点が大きな特徴です。


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自治体ならではのID管理の課題

 自治体は、組織の特徴として「定期的人事異動」「兼務・出向」「臨時職員・委託職員の増減」が頻繁に発生します。
このため、誰がどの業務システムを使えるかを手作業で設定・解除していては、
ミスや漏れが起きやすく、情報漏えいリスクにもつながります。

 IDaaSを導入すると、職員の所属・役職などを人事システムと連携するだけで、利用可能なサービスやアクセス権限が自動的に更新されます。
また、操作ログやアクセス履歴が自動で記録されるため、内部統制や監査対応にも有効です。

 結果として、「人が変わっても安全に業務を継続できる組織」への移行が可能になります。

導入は「一気に全部」ではなく段階的に

 IDaaS導入では、「全てのシステムを一度に移行」するのではなく、段階的に範囲を広げていくことが成功の鍵です。

  1. まずは庁内職員のID管理基盤を整備(人事データ連携)
  2. 次に、メール・グループウェアなどの共通業務系SaaSと連携
  3. 最後に、住民サービス・業務システムなど外部接続領域へ拡大

 特に自治体では、既存システムがクラウド非対応の場合や、一部の業務が委託先で運用されているケースも多いため、
「何をどこまで連携するか」を設計段階で明確にすることが重要です。

まとめ

ポイント内容
国の方針クラウド前提(クラウド・バイ・デフォルト、標準化法)
自治体の現場          異動・兼務・委託が多く、権限管理が複雑
IDaaSの役割ログインと権限を統合し、運用負荷とリスクを削減
導入のコツ段階的導入+人事・庁内システムとの連携設計が鍵

 IDaaSは、デジタル庁が掲げる「安全で利便性の高い自治体運営」を実現する基盤の一つです。
単なる技術導入ではなく、自治体全体の業務・セキュリティ運用をクラウド前提に最適化する取り組みとして位置づけられています。


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