リモートワークの普及に伴い、近年注目されているゼロトラストですが、その実現に欠かせない「IdP」を使用した認証技術もまた、同時に関心を集めています。重要な情報がインターネット上で管理されている時代において、限られたユーザーのみを認証し、不正なアクセスを防ぐセキュリティシステムの構築は、どの企業でも最優先で取り組む事項の一つだと言えます。本記事では、認証システムに深く関わる存在である「IdP」について、SAML認証との関係性とともに解説します。
※本記事は2023年11月1日に投稿した記事を再編集したものです。
IdPとは?
IdPとは、Identity Providerの略称で、クラウドサービスなどのアクセスに必要となるユーザーの認証情報を管理し、提供する役割を果たします。端的に言うと、「ユーザーが誰であるかを証明し、その証明を他のサービスで共有できる仕組み」のことです。似た用語に「IDP(Intruder Detection and Protection)」がありますが、混同を避けるためdは小文字で書かれることが一般的です。
IdP普及の背景
近年、クラウドサービスの利用が急速に拡大しており、サービス毎にそれぞれ個別のパスワードを設定・管理することが当たり前になっていますが、これは非常に煩雑で手間がかかります。その解決策として登場したのが、SAML認証を活用した、IdPです。SAML認証とは、 Security Assertion Markup Languageの略語であり、SSO(シングルサインオン)を可能にするシステムの一種です。 IdPは、このSAML認証を活用することでSSOを実現し、利便性とセキュリティの向上することができます。 このシステムについては、以下で解説しています。
代表的なIdP
IdPの選択肢は多くありますが、その中でも有名なIdPの例として、OktaやPingfederate、Auth0などがあります。Microsoft社のMicrosoft Entra ID(旧AzureAD)は、WindowsやOfficeとの連携が可能です。それぞれのIdPに特徴がありますが、社内で使用しているネットワークやアプリケーション、SAMLの対応状況などに応じて、適切なIdPを選択することが大切です。
IdPのメリット・実現できること
IdPは、ユーザ認証やパスワード管理においてさまざまなメリットがあります。
SSOの実現
IdPを活用することで、シングルサインオン(SSO)が実現できます。一つのパスワードとIDで複数のクラウドやアプリケーションにログインできるため、業務効率が上がり、利用時の負担軽減につながります。さらに、パスワードの変更や社員の入社時・退社時の対応、アクセス権限の更新も容易に行うことも可能です。
セキュリティの強化
IdPは多要素認証(MFA)をサポートしているため、一つだけの要素で認証する場合と比べ、セキュリティは大幅に改善し、不正アクセスなどへの耐性も期待できます。多要素認証とは、IDとパスワードに加え、ワンタイムパスワードや指紋認証、静脈認証など、認証方法を増やすことです。これにより認証の精度向上、なりすましや不正アクセスの被害リスクの減少が期待できます。複数サービスでの同じパスワードの使いまわしの危険もありません。
多要素認証については、こちらの記事で詳しく解説しています。「多要素認証(MFA)とは|メリット、デメリットについて解説」
IdPとSAML認証のかかわり
SAML認証によるSSOでは、以下の図のようにIdP、ユーザー、サービス・プロバイダ(サーバー)の3者間で、認証情報やIDおよび属性などのユーザー情報のやり取りが行われます。サーバーは、ユーザーが利用するサービス(メールやストレージ、CRMなど)の提供元のことを指します。 IdPはこの中で、ユーザーを認証し、その認証情報をサーバーに提供する役割を持ちます。これにより、複数のクラウドサービスへのシームレスなログインが可能となります。

SAML認証については、こちらの記事で詳しく解説しています。「SSOの実現に必要な「SAML」とは?」
まとめ
IdPは、SAML認証に必要な情報を集約し管理する仕組みのことで、シングルサインオン(SSO)や多要素認証を可能にし、セキュアなアクセスの実現に貢献しています。このようなIdPの仕組みを活用することで、認証プロセスを効率化し、利便性とセキュリティを両立させることが可能になります。かもめエンジニアリングでは、ID管理の運用負荷と、セキュリティリスクを大きく軽減するソリューション「KAMOME SSO」を提供しています。一組のIDとパスワードですべての業務システムや各種SaaSを都度ログインせずに安全に利用できるようになり、多数のパスワードを記憶し入力する煩雑さとパスワード漏洩のリスクから解放されます。更に、ワンタイムパスワード、二段階認証、生体認証など最新のセキュリティ対応にも対応可能です。ご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
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